大切な一人娘を育てるように気を配り、慈しんで造り上げた酒　「一人娘」


茨城県内では広く知られた銘柄「一人娘」の醸造元・山中酒造店は、茨城県の西部、常総市（旧結城郡石下町）にあります。
現在地での創業は文化2年（1805年）とされていますが、蔵の菩提寺の過去帳には1650年頃から先祖の痕跡があるとされる大変歴史の古い蔵元です。
関東平野のど真ん中に位置し、当地出身の詩人長塚節の代表作「土」の舞台ともなった石下は、鬼怒川や小貝川が流れる水の恵み豊かな地で、水運で栄えた歴史や養蚕の隆盛を背景とした絹織物（石下紬）で名高く、酒造業も早くから発達しました。

先代蔵元の時代から「一人娘」は茨城県内でも先頭を切って品質向上に努めてきており、軟水を逆手に取った二段仕込みによる淡麗辛口タイプの酒質は、昭和時代の地酒ブーム初期に大きく注目を集めて台頭を果たし、県内有数の銘醸蔵として人気を博してきました。

現蔵元は9代目に当たる山中直昭さん。蔵元杜氏として社員全員体制での醸造を先導し、さらに一皮むけた「一人娘」を生み出そうとしています。
質の高い酒造りに早くから取り組み、県内のみならず全国的な販路を持つ定着度の高い酒としての安定感を守りつつも、限定流通による戦略的な商品の開発が始まることになったのです。

茨城県有数の名門蔵が満を持して放つ限定酒「一人娘・直汲み無濾過原酒シリーズ」が平成27年（2015年）よりスタートします。
県内の地酒専門店を中心とした商品展開を図り、更なるステップアップを目指す試みです。当店もその第一陣として取扱店の末席に加えていただくことになりました。
眠れる獅子が目覚めるとき、それは「一人娘」の第二の飛躍の幕開けとなることでしょう。